Q3−51 盲・聾・養護学校での取り扱いは?

 総合的な学習の時間を盲・聾・養護学校ではどのように取り扱っていったらよいでしょうか。

○ 基本的には小・中学校、高等学校と変わりません。
 総合的な学習の時間の取り扱いは、小・中学校、高等学校と共通のものです。
 ただし、小・中学校、高等学校にとっては一般的には新しい指導形態であるのに対して、盲・聾・養護学校でのこれまでの実践と総合的な学習の時間の考え方は、各学校が地域や学校の実態に応じて創意工夫を生かして特色ある教育活動を展開すること、生きる力の育成のために領域・教科の枠を超えた横断的・総合的な学習を行うといった点でかなり似通った点が多くあることに留意して、取り扱っていく必要があります。
○ 例外は、知的障害養護学校小学部です。
 知的障害養護学校の小学部では例外的に総合的な学習の時間が設けられませんでした。6年間を通じて生活科という教科があり、実際には、生活科の内容を中心にした日常生活の指導や生活単元学習などの領域・教科を合わせた指導が行われており、総合的な学習の時間と同様の趣旨の指導を行うことができるとの認識に立ったものです。
 ただし、総合的な学習の時間が設けられないからといって、そうした指導が必要ではないということではありません。これまでの実践を総合的な学習の時間創設の趣旨で見直していくことが大切ではないでしょうか。
○ これまでの実践の見直しから考えましょう。
 では、どのように総合的な学習の時間の導入を図ったらよいのでしょうか。具体的な内容については、各学校の創意工夫にゆだねたいと思いますが、これまでの実践で総合的な学習の時間として発展させるものはないか考えることから始めたらどうでしょう。
 たとえば、資源回収や地域清掃などのボランティア体験的活動、学校の特色を生かした学年の枠を越えた活動、ものづくり、生産活動をとおした交流活動などが考えられます。

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Q3−52 盲・聾・養護学校での自立活動との違いは?

 自立活動と総合的な学習の時間では、児童生徒の実態によって、活動内容に重なりがでてくると思いますが、どのように考えていけばよいでしょうか。

○ 教育課程上の位置づけが違います。
 自立活動は、教科ではなく、道徳、特別活動と同じ領域です。
 総合的な学習の時間は、教科でも領域でもありません。教科や領域を含めて総合的にあつかう指導形態です。
○ 趣旨やねらいが違います。
 自立活動では、障害に基づく種々の困難を改善・克服し、自立し社会参加する資質を養うために、学校の教育活動全体を通じて適切に行うようにします。
 総合的な学習の時間は、各教科等を横断する課題について、問題解決的に学習したり、子供の興味・関心に基づいた探究的な学習を行ったりすることによって、各教科等における学習を総合的に生かし、知識・技能を生きたものにしていくことをねらいとしています。
○ 個別の指導計画の有無が違います。
 自立活動では、個別の指導計画を立てます。その計画に基づいて、個別の指導やグループ指導が展開されます。
 総合的な学習の時間は、各教科と同様の年間指導計画を立てます。単元や題材ごとに、個別の目標を設定して指導します。
○ 子どもの実態によっては指導内容が重なることがあります。
 自立活動での課題は子どもの自立支援に向けた大きなものです。したがって活動の選択も幅広いので、総合的な学習の時間の部分的な活動内容と重なる部分も出てくると思います。重なってはいけないということはありませんが、効果的な指導をするため、年間指導計画や個別の指導計画を立案する場合、事前に重なる部分の調整も考えていく必要があると思います。

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Q3−53 知的障害養護学校での取り扱いは?

 知的障害養護学校においては、総合的な学習の時間と領域・教科を合わせた指導の関連をどのように考えたらよいでしょか?

 領域・教科を合わせた指導との重なり
 生きる力をはぐくむには、教科別・領域別の指導だけでなく、「一定のまとまった時間を設けて横断的、総合的な指導を行う学習が必要である」という提言によって、総合的な学習の時間が設定された経緯があります。
 知的障害養護学校小学部の各教科には「生活科」が設置されており、その趣旨は、「必要な指導目標・内容が従来の教科では分類困難なこと、児童の実態から、知識・技能の習得が断片的になりやすいことなどから、総合的な教科として設置する」とあります。
 また、知的障害養護学校では、領域・教科を合わせた指導という指導形態で「生活単元学習」「作業学習」等が指導されており、総合的な学習の時間とかなり重なる部分があります。したがって知的障害養護学校における総合的な学習の時間は、生活科設置の趣旨や領域・教科を合わせた指導が行われていることから、小学部には設置されず、中学部及び高等部で適切に授業時数を定めて教育活動を行うこととされています。
 総合的な学習の時間と領域・教科を合わせた指導「生活単元学習」「作業学習」等の活動とは、@生徒の発達段階や興味・関心に基づいた活動(題材)が取りあげられること、A生徒の主体的な取り組みを大切にした活動であること、B教科等の内容が相互に関連づけられ、総合的に働くように内容が構成されていることから、両者の学習の効果が同等程度に期待できることもあります。また、生徒側からすれば、総合的な学習の時間であっても生活単元学習や作業学習であっても実際に授業を展開する過程では大きな差はないと考えられます。
 このことから両者の活動の意味は同じように受け止められがちになります。しかしながら、総合的な学習の時間は、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決するというようなねらいが、生徒の活動そのものの中で達成されていくものであるとされています。これに対して、領域・教科を合わせた指導では、合わせるべき内容があり、それが学習活動として用意され、指導者の意図が反映され、ねらいが達成されるものであるという違いがあると考えられます。総合的な学習の時間では、内容が示されていないこと、目標ではなくねらいで示されていることに留意する必要があります。

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Q3−54 盲・聾・養護学校での活動例は?

 盲・聾・養護学校においての総合的な学習の時間の活動例について教えてください。

 盲・聾・養護学校の学習指導要領においては、総合的な学習の時間の取り扱いにおける配慮事項として、自然体験やボランティア活動などの社会体験、ものづくりや生産活動、交流活動などが示されています。
 従来から知的障害養護学校の中学部・高等部では、社会参加活動として、地域の公園や駅などの清掃やプランターの設置などのボランティア活動を実施しています。
 作業学習では、木工、縫工、窯業、金工、農業などの生産活動を取り入れています。また、近隣の中学校や高等学校の生徒や地域の人々との交流などが行われており、これらの活動の一部を総合的な学習の時間に位置づけて取り扱うことができます。
 指導に当たっては、課題の発見や解決に要する状況整備、既習の知識や技能などが活用される場の設定など、ねらいに沿った活動に主体的に取り組めるようにすることが大切です。
 いずれにしても総合的な学習の時間と領域・教科を合わせた指導については、実践をとおして、教育課程上の整理をしていくことが肝要であると思います。

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Q3−55 盲・聾・養護学校(高等部)での取扱いは?

 盲学校,聾学校及び肢体不自由又は病弱養護学校高等部において,総合的な学習の時間の授業時数及び単位の認定等はどのようになっていますか。

1 総合的な学習の時間の授業時数
 総合的な学習の時間については,学習活動の内容だけでなく,その内容にふさわしい授業時数も設定できることにより,各学校の裁量の幅が広がり,「各学校が創意工夫を生かし,特色ある教育,特色ある学校づくりを進める」という今回の教育課程の改善のねらいが一層表現しやすくなることを意図しています。ただし,総合的な学習の時間は,同じ教育課程の適用を受ける生徒は,原則として同じ授業時数の学習活動を行うことになります。
 総合的な学習の時間は,各教科・科目,ホームルーム活動及び自立活動の授業のように,年間35週行うことを標準としていません。したがって,卒業までの各学年のすべてにおいて実施する方法のほか,特定の学年において実施する方法も可能です。また,一定の時数を週毎に割り振り,年間35週行う方法のほか,特定の学期又は期間に行う方法を組み合わせて活用することも可能です。

 ○ 盲学校,聾学校及び肢体不自由又は病弱養護学校の高等部
 標準単位時間数は示されてなく,卒業までに各学校において,学校や生徒の実態に応じて総合的な学習の時間の授業時数を適切に定めます。

(参考)
○ 知的障害養護学校の高等部
 卒業までに学校や生徒の実態に応じて,適切に定めるのではなく,総合的な学習の時間のねらいを考慮し,各学年毎に年間の授業時数を適切に定めます。
○ 高等学校
 105〜210単位時間を標準とし,卒業までに各学校において,生徒の実態に応じて総合的な学習の時間の授業時数を適切に配当します。
2 単位の認定
 総合的な学習の時間については,学校教育法施行規則第63条の4に規定する学校外活動の単位認定を行うことはできないので,必ず学校での授業時数に組み込むことが必要です。単にレポートの提出や長期休業中の課題として済ませることはできません。
 単位の認定に関しては,各教科・科目と同様,生徒が学習活動を行い,その成果が満足できると認められる場合には,単位の修得を認定することになっています。単位の計算方法は,各教科・科目と同様であり,授業時数と同様に,同じ教育課程の適用を受ける生徒は,原則的として同じ単位数の習得が規定されることになります。

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Q3−56 知的障害養護学校(高等部)での取扱いは?

 知的障害養護学校高等部において,総合的な学習の時間の授業時数等はどのようになっていますか。

1 総合的な学習の時間の授業時数
 知的障害養護学校の高等部の総授業時数の考え方は,従前と同様です。ただし,今回の改訂において,各学年における総授業時数の中に,新たに示された総合的な学習の時間も含めることになっています。したがって,知的障害を教育する養護学校の高等部における総合的な学習の時間の授業時数は,盲学校,聾学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校の高等部とは異なり,卒業までに学校や生徒の実態に応じて,適切に定めるのではなく,総合的な学習のねらいを考慮し,各学年毎に年間の授業時数を適切に定めます。

2 課題研究による代替等
 知的障害者を教育する養護学校の各教科については,科目を設けていないため,総合的な学習の時間の取り扱いについて,高等部学習指導要領第1章第2節第2款第3の6は除くことになります。すなわち,課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間における学習活動の一部又は全部に替えることはできません。
 なお,知的障害者を教育する養護学校においては,単位制が実施されていないことなどを踏まえて,総合的な学習の時間の取り扱い等を考る必要があります。

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Q3−57 盲・聾・養護学校での名称の設定は?

 総合的な学習の時間の名称は,各学校で適切に定めるものとされていますが,大きな単元的なくくりで設定するのか,それとも1単元ごとあるいは時間帯で名称を考えても良いのでしょうか。

1 各学校における名称
 教育課程の基準上の名称は,「総合的な学習の時間」としますが,各学校における教育課程,時間割上でのこの時間の具体的な名称は,各学校において適切に定めることとなっています。
 各学校において,この時間の学習活動の内容やそれぞれの学校の取り組みの経緯等を踏まえて,この時間の趣旨が広く理解され,児童生徒や保護者,地域の人々に親しんでもらえるような適切な名称を定めることが必要です。

2 名称の扱い
 名称を大きな単元的なくくりで設定するのか,1単元ごとあるいは時間帯で名称を考えるのかは,原則として各学校において定めることになります。ただし,先に述べたように,児童生徒にとって親しみやすい名称が良いと考えます。また,活動により名称が変わることによって児童生徒に親しみにくいものになってしまっては意味がありません。児童生徒の実態を十分踏まえてその名称を考える必要があります。

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Q4 愛知県教育センターでは?

 愛知県教育センターでは、総合的な学習の時間(県立学校)について、どのように研究・研修をすすめていくのですか。

○ 研究・研修を実施する上での課題
 都道府県指定都市教育研究所長協議会が、平成11年3月にまとめた『総合的な学習の時間についての研修及び研究と教育センターの役割に関する調査研究』の中には、総合的な学習の時間の研修講座等を実施する上で、各県の教育センターから次のような課題が寄せられています。
・ 学校のニーズが把握しにくい。また、参加者の意識やニーズがまちまちで内容が決定しにくい。
・ 今、学校が求めている具体的な実践事例の紹介と先進校の実践発表者及び指導できる講師が少ない。
・ 中・高等学校では、依然関心が低いと感じられ、研究・研修の気運を高める方策が必要である。

○ 研修講座等
 愛知県教育センターでも上記課題等を念頭におき、平成11年度総合的な学習講座(8月27日)及び第39 回愛知県教育センター研究発表会(11月26日)を実施しました。
 研修講座及び研究発表会において、研究協力校(県立学校5校)の実践事例を、まとめとしての研究成果ではなく、今後取組を始める学校の参考となるように「どのようにして取組を始めたのか」準備段階を含めての発表がありました。160名余りの参加者の中からは熱心な質問・意見があり、また、国立教育研究所、牧昌見次長さんからも、発表校3校(五条高校、安城南高校、岡崎聾学校)の取組に対する心暖かい励まし、取り組むために必要な条件について、ご助言をいただきました。

○ 研究
 平成11年度(県立学校関係)については、教育センター所員10名でプロジェクト研究を開始しています。
 各学校の研究・研修意欲を高めることをねらいとして、研修講座等を実施するとともに教育センターのホームページに「総合的な学習の時間に関するQ&A」をこれからも追加・修正しながら掲載していきます。
 高等学校における実践事例は県内外ともに今のところ少ないわけですが、今後も事例収集に努めていきます。

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