Q3−1 学習展開の流れは?

 総合的な学習の時間における学習展開の流れとして、どのような手順が考えられますか?

 総合的な学習の時間のおおよその流れとして次のような手順が考えられます。

○ 問題把握
【内 容】身近な生活、自己の生き方・在り方を分析し、問題点をとらえる。
【留意点】創意ある学校づくりと関連し、地域の協力を得ながら問題点を深める。
  ↓
○ 課題設定
【内 容】学習課題を設定する(個人・グループ)。
【留意点】できるだけ多くの時間をかける。
     課題発見、つまり、課題を正しく設定することに努める。
     横断的・総合的な課題、自己の興味・関心に基づく課題、進路や人間としての在り方・
     生き方に関する課題等の質を高める。
  ↓
○ 発展目標設定
【内 容】課題を分析し、追究の方向を定める。
【留意点】課題解決のための具体的な追究目標をつくる。
  ↓
○ 課題追究計画作成
【内 容】追究計画を立てる。
【留意点】情報の集め方、調べ方、まとめ方の計画を立てる。生徒へのアドバイス。
  ↓
○ 課題追究学習
【内 容】体験学習・フィールドワークを重視しながら学習を展開する。
    (自然体験、社会体験、観察・実験、見学・調査、生産活動等)
【留意点】生徒相互の話し合い活動(中間報告や研究過程の検討等)を行い、互いに点検し、補足
     点を確かめ合いながら、次の学習に生かす。
  ↓
○ 学習成果のまとめ
【内 容】各自・各グループの学習の成果をまとめる。
【留意点】報告や発表の仕方を検討する。効果的な報告・発表の仕方を工夫する。
  ↓
○ 学習成果の発表
【内 容】各自・各グループの学習成果を発表する。
    (ステージ発表、掲示による発表、冊子による発表等)
【留意点】全校・学年体制で発表の機会をもつ。他の生徒・グループの発表を見聞きすることで課
     題意識を高める。
  ↓
○ 発展課題の設定
【内 容】学習成果を発展させるための課題を設定する。
【留意点】学習の不十分な点や、もっと深めたい点を検討して次の課題につなげる。
     学年別、課題別等で研究の成果を冊子としてまとめる。
    (次年度の課題設定の資料として活用)学校の伝統として蓄積、学校の特色として生か
     す。                                                             

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Q3−2 深めるには?

 総合的な学習の時間の学習内容を深めていくためには、どのような方法が考えられるか。

○ 各学年の学習のねらいを設ける
 総合的な学習の時間の設定には、ある学年で集中的に実施する方法やすべての学年で実施する方法などが考えられますが、学習内容を深めるためには、すべての学年で実施し、しかも学年ごとに総合的な学習の時間のねらいに即した学習内容を積み重ねていく方法が有効です。
 そのためには、学習の積み重ねを意識した学年ごとの学習のねらいを明確化するとよいでしょう。
 次に、学年毎の学習のねらいの一例を紹介します。
 1年生では、教科横断的・総合的な学習の方法を習得し、グループ研究により学習課題を解決するためのスキルを培う。
 2年生では、生徒一人一人の総合的な学習へと発展させ、個人研究により課題解決的、探究的な態度と能力の育成を図る。
 3年生では、より専門的な興味と関心に基づいた課題を設定し、個人研究により生徒の主体的な学習態度や課題解決的、探究的な態度・能力を確立する。
○ 各学年の学習内容を関連づける
 高学年になるに従ってより高度な能力を身に付けさせ、学習の深化を図るためには、前の学年で身に付けた知識・技術を次の学年で有効に生かすことができるように、各学年にふさわしい学習内容、学習形態を検討することが大切です。それぞれの学校の実態に即した指導法を考えていきましょう。

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Q3−3 自己理解を促し、やる気を刺激するには?

 最近の生徒の諸々の問題行動の発生に象徴されるように、生徒の置かれている状況は、生活の中で出会う諸課題を自ら解決し、人間としてよりよく生きようとする挑戦的・探究的な態度を持ちにくくしています。生徒の「やる気」を刺激し自尊感情をもたせるためのポイントは?

 生徒が自ら学習課題を見出し、主体的にかかわるには、挑戦しやり抜こうとする自己の内面からの動機付け、さらにはその動機や意欲を支える自己表現への夢や展望をもてることが肝要になります。生徒が「自分もやればできる」という、自分自身の「よさ」への自覚を促し、自尊感情を刺激する活動を工夫する必要があります。生徒の自主的・主体的な活動、自己表現への動機付けは自尊感情の高低が大きく影響するものであります。生徒の「やる気」を刺激し自尊感情をもたせるための活動は次の点に留意して行う必要があります。

○ 好奇心を刺激すること
 生徒は生来的に知的好奇心があり、学ぶことに意欲をもつものだという人間観・指導感に立つことです。よりよく生きるための手がかりを求めながらも、その手がかりや感触が見当たらない時期が続くと、生徒はしらけたり投げやりになったりしてしまいます。ティームティーチングによる教師の多様な指導、異なる視点からの評価も有効になるでしょう。
○ 成果が確認できること
 一人一人の活動の成果が教師や大人だけでなく仲間から認められ承認されるとき、生徒は意欲を発揮します。学習への取り組みの過程や発表の仕方等にも創意工夫をこらしましょう。
○ よい指導者を得ること
 教師はとかく教科学習をとおした生徒に対する評価をその他の活動へも持ち込みがちです。学校外の人材の活用は学習内容の多様化、課題に対する専門性への期待と同時に、固定的になりがちな生徒に対する評価を多元化する機会にもなります。
○ よい仲間との出会いがあること
 グループでの取り組み、異年齢集団の活動等、日ごろの人間関係の枠にとらわれない活動形態を積極的に取り入れることで、思わぬ発見や意欲を刺激する機会になります。多くの仲間との出会いの場を意図的に創造していきましょう。

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Q3−4 どのような学習活動があるか?

 高等学校の総合的な学習の時間にふさわしい学習活動には、どのようなものがありますか?

○ 高等学校学習指導要領に例示された学習活動
 高等学校学習指導要領には、各学校で具体的な学習活動を計画し、展開する際の参考として、次のような学習活動が例示されています。
(1) 国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な学習課題についての学習活動
(2) 生徒が興味・関心、進路等に応じて設定した課題について、知識や技能の深化、総合化を図る学習活動
(3) 自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動
○ 学習活動例はあくまでも例示です。
 上記に示した学習活動はあくまでも例示です。
 総合的な学習の時間は、各学校が、そのねらいを踏まえ、「地域や学校、生徒の実態等に応じて、創意工夫を生かした教育活動」を行うこととなっています。総合的な学習の時間の趣旨とねらいにそっている限り、各学校は学校、生徒の実態に応じて、学習活動を決めることができます。
○ 参考になる学習活動
(1) 横断的・総合的な学習課題については、現在、全国の各学校で開設されている「その他教科・科目」などで行っている学習活動が参考となります。ただし、教科・科目と総合的な学習の時間では、ねらいや評価方法などが違いますので、その点は考慮する必要があります。

(2) 生徒が興味・関心、進路等に応じて設定した課題について、知識や技能の深化、総合化を図る学習活動では、総合学科や専門学科で行われている「課題研究」での取組などが参考となります。

(3) 将来の生き方、進路などについての学習活動については、総合学科の原則履修科目「産業社会と人間」などが参考となります。

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Q3−5 主体的学習活動のポイントは?

 生徒が学習活動に自主的・自発的に取り組めるようにさせるよい方法や手だてはありませんか?

○ まず生徒が取り組みやすい課題の設定を
 生徒が主体的に設定した課題について取り組ませることによって、各教科で身に付けた知識や技能を深め、生かされる場が総合的な学習の時間です。したがって、生徒にとってつかみどころのある課題の設定ができるかどうかが鍵となります。
 比較的学習意欲の乏しい生徒が課題に取り組むにあたっては、初めが肝心です。そうした生徒が関心のあること、得意とすること、できそうなことなどの課題が選択できるように配慮したらどうでしょう。
○ 「指示」から「支持」へ指導姿勢の転換を
 教師は、総合的な学習の時間では「なにを教えるかではなく、どう学ばせるか」に集中していくとよいと思います。つまり、生徒が課題に取り組むにあたって、直接的に指示を与えたり、手を出すのではなく、生徒が主体的に問題解決の糸口を見いだすことができるように助言し、継続して見守り、必要な援助ができるように支えていく姿勢で臨むことが大切です。
○ 生徒に成就感・達成感を与える称賛を
 生徒が一連の学習活動を遂行した時、「できた、まとまった、わかった」という成就感・達成感を覚えることが必要です。それが、生徒の内的な動機付けとなり、次の学習活動に取り組む意欲の源になります。そのため、教師は「高校生だから」と、称賛する言葉を発することにちゅうちょしてはなりません。教師の心からの称賛の言葉や態度は、学習過程での支援とあいまって生徒の心に響くはずです。

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Q3−6 ふさわしい学習方法・形態は?

 総合的な学習の時間にふさわしい学習方法・形態とは、どのようなものでしょうか?

○ 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっての配慮すべき事項
 高等学校学習指導要領には、総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては、配慮すべき事項が示されています。

(1) 自然体験やボランティア活動、就業体験などの社会体験、観察・実験・実習、調査・研究、発表や討論、ものづくりや生産活動など体験的な学習、問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
(2) グループ学習や個人研究などの多様な学習形態、地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制、地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。

○ 教室での画一的・知識伝達的な授業からの転換を。
 総合的な学習の時間では、多様な学習形態で、生徒の興味・関心、進路等に応じた学習活動を展開することが望まれています。
 例えば、生徒が興味・関心、進路等に応じて課題を設定し、自然体験、ボランティア活動及び就業体験など体験的な活動、観察・実験・実習及び調査・研究などを積極的に取り入れ、それらに基づく発表や討論を行うような学習活動が求められています。
○ 地域の教材や学習環境を積極的に活用した学習活動を。
 多様な学習形態で、生徒の興味・関心、進路等に応じた学習活動を展開するには、保護者をはじめ地域の専門家や留学生など外部の人々、あるいは地域の学習機関(公共図書館や博物館)や企業等の協力を得たり、地域の自然、文化財、伝統的な行事や産業などの地域の教材や学習環境を積極的に活用した学習活動を行わなければなりません。
 そのためには、地域の人々の協力を得ることができるような支援体制づくり、地域のさまざまな施設、団体と連携する必要もあります。
○ 学校全体で考え、学年単位や異学年、学校全体で協力した取組を。
 総合的な学習の時間は、従来のように学級単位だけでなく、学年単位や異学年、学校全体で、個人又はグループ学習を行わせるような学習活動を展開しなければなりません。
 また、このような学習活動を行うには、学習時間の弾力的な設定が必要であると考えられます。

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Q3−7 時間の配置方法は?(1)

 総合的な学習の時間の授業時数の配当に当たって、ある時期に集中的に実施したいと思うが、どの程度のことが可能ですか?

○ 特定の学期又は期間に集中的に行うことも可能です。
 高等学校指導要領では、総合的な学習の時間は「年間35週行うことを標準とする」とはなっていません。(第5款1項)
 年間指導計画の中で、総合的な学習の時間を配当された単位時間数分だけ行えばよいのです。
 一つの学年の中に、授業時数を配当する場合、年間35週行う方法の外、隔週で実施することも、特定の学期又は期間に集中的に実施することも可能です。
○ 授業のある日の授業時間内で実施しなければなりません。
 総合的な学習の時間は教科・科目や特別活動と同様に、教育課程上に位置づけられた授業時間です。基本的に、授業のある日の授業時間内で実施しなければなりません。夏季休業中や冬季休業中には、原則として授業は行わないこととされているので、総合的な学習の時間の授業も行うことはできません。
 ただし、総合的な学習の時間の趣旨にふさわしいもので、長期休業中でなければできない活動と校長が認めた場合で、年間計画の中に位置づけられているのならば、実施することはできます。
○ 特定の学期又は期間に集中的に行うには
 ある時期に集中して実施する場合は、その時間に実施しうる教科・科目等の授業時数を年間のどこかで補う必要があります。
 例えば、金曜日の5、6時限に総合的な学習の時間を位置づけておいた上で、1年分の授業時間をある時期にまとめます。その間に欠ける教科・科目等の授業については、時間割変更によって、金曜日の5、6時限へ計画的に割り振るようにしておきます。
 このように、集中的に一定期間行う方法と、毎週時間割に組み込んで行う方法と、両方組み合わせることも可能です。
 総合的な学習の時間は、各学校が、地域や学校、生徒の実態等に応じて、創意工夫を生かした教育活動を行うものです。3年間の指導を見通し、この時間の趣旨にふさわしい指導計画を各学校で作りあげなければなりません。その指導計画を踏まえ、どう創意工夫し具体的に実施するのかが、今、学校に問われています。

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Q3−8 時間の配置方法は?(2)

 学習指導要領では、総合的な学習の時間の授業時数については、105〜210単位時間を行うことになっていますが、この授業時間の配置の方法について制約はあるのでしょうか。また、時間配置にはどのようなパターンが考えられるのでしょうか。

 学習指導要領では、総合的な学習の時間を卒業までに105〜210単位時間実施するとなっているだけで、細かな時間配置については規定していません。時間配置については、学習テーマや形態、生徒の実態に合わせて学校独自に設定することができるものと解釈されています。また、1単位時間は、50分を標準とするも、「各学校において、各教科・科目等の授業時数を確保しつつ、生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする」となっており、実質上1単位時間の規定が外されています。このように学校独自の判断にまかされる部分が多いため、様々な時間の配置方法が考えられますが、大きくは次の三つのタイプが考えられています。
○ 毎週固定した曜日に時間を設定
 このタイプは、1年を通じていくつかの学習テーマを設定し、ローテーションによって、全生徒に学習させていくなどの形態が考えられます。あるテーマに適した教員が年間を通じてすべてのクラスで授業が行え、また図書館やコンピュータの使用に当たってローテーションが組みやすい利点があります。しかし、週に1時間もしくは2時間を年間を通して行うため、生徒の興味・関心を維持していくことが重要な課題となります。また、校外での体験学習などまとまった時間が確保しにくいため、校内の学習活動が中心になります。
○ 集中的な位置づけ
 このタイプは、例えば、学期に2〜3日集中して授業を行う形式です。地域に出て就業体験やものづくりなどまとまった時間が必要な学習形態に適しています。全校あるいは学年をあげて実施することにより、全教員の協力体制が作りやすい利点もあります。ただ、多数の生徒が一斉に学習する場の確保が課題となるでしょう。
○ 学校行事などと関連させた位置づけ
 このタイプは、学校祭や修学旅行などの学校行事と関連づけて授業を行う形式です。例えば、学校祭の前に、生徒が調査・研究を行う時間を設定し、学校祭で発表・討論する、修学旅行先の文化や自然を事前に調査・研究し、修学旅行への興味・関心を高めるなどが考えられます。ただ、行事に費やした時間を授業時間に組み入れることはできません。また、不参加生徒への対応など、計画を立てる上で考慮しなければならない点があり、今後明らかにしていかなければなりません。
 2・3番目のタイプはこの時間の趣旨に適したものですが、学年間で複線的な年間計画を立てる必要が考えられ、教育課程が複雑になる欠点があります。
 例に示した案は考えられる概略であり、実際は、学習形態や内容、生徒の実態に即して、いくつかの方法を融合させることが必要です。

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Q3−9 学校行事との関連は?

 学校行事、例えば学校祭や修学旅行と結びつける良い方法はないでしょうか。

○ 特別活動は、今後も、一層重視すること
 従来、特別活動として実施していることを、総合的な学習の時間にすることは適切ではありません。特別活動として実施していることは、これからも特別活動として力を入れていく必要があります。
○ 特別活動とは区別して行うこと
 学校行事やホームルームの時間そのものを総合的な学習の時間とすることもできません。しかし、学校祭や修学旅行と連動させて行う学習活動が総合的な学習の時間の趣旨に沿うものならば、総合的な学習の時間と学校行事を関連づけて相互に生かし合うことはできます。
 ただし、学校行事の中で行った活動を、総合的な学習の時間の授業時数とすることはできません。ある活動について、総合的な学習の時間として行ったのか、特別活動として行ったのか、明確にしておく必要があります。
○ 学校行事と関連づけるには
 総合的な学習の時間と学校行事を関連づけて相互に生かし合うには、
 総合的な学習の時間の中で、個人又はグループで主体的、創造的に調査・研究を行わせ、学校祭を利用し、学習成果を展示発表させたり、研究発表させたり、討論を行わせたりする方法が考えられます。
 また、総合的な学習の時間の中で、修学旅行で行く場所の自然、生活、産業等について、生徒が主体的に設定したテーマを研究させ、修学旅行を調査、観察など実際の体験的な学習の場として利用するなども考えられます。

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Q3−10 地域教材の活用とは?

 学習指導要領では、地域の教材や学習環境の積極的な活用をうたっていますが、具体的にはどのような教育活動を示しているのですか。

 *「地域の教材や学習環境の積極的な活用」において想定される具体例
○ 地域の人材の活用
 今日的な課題(環境、国際理解、健康・福祉など)に関連する人物や郷土史家、専門的な知識や技能を持つ社会人などを講師として検討してみる。時には、講師がはたらく場で講義が行われると良いでしょう。また、一方的な講義ではなく、生徒と講師が意見を交換できるような設定を考えることが大切です。さらには、地域の歴史や産業などの学習方法として、住民への聞き取りやアンケートなどを通じ、調査・研究を行うことも考えられます。
○ 地域の施設・設備、事業所、自然の活用
 地域の公民館、博物館、郷土資料館、神社・仏閣、公園、事業所(警察署、郵便局、銀行、店舗、製造工場など)の諸施設を利用し、職業体験やものづくり、ボランティア活動、調査・研究の資料収集の場として活用します。また、地域の自然の調査・研究をとおして、自然体験させることも大切です。

 *「地域の教材や学習環境の積極的な活用」における留意点
○ 地域状況の把握
 学校として地域で活用可能な人材や施設・設備、自然を把握しておくことが大切です。そのために準備の段階で十分に調査し、人材バンクや施設マップといったものを作成する必要があります。
○ 地域からの理解
 地域の人々に学校の教育方針を十分に納得してもらう必要があります。そのためには、PTAを通じた説明会や個々の社会人講師や施設責任者への説明を十分に行います。
○ 学習の系統性
 校外での学習内容と校内での授業や行事とを有機的に関連をさせることが大切です。校外学習だけが遊離しては、学習に系統性がなくなり、生徒の興味・関心が一過性のものとなってしまいます。

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Q3−11 現代的課題を扱うには?

 総合的な学習の時間で扱う例としてあがっているのは、国際理解、情報、環境、福祉といった現代的課題であります。これら現代的課題を学習活動として扱う際に留意しなければならない点は何でしょうか?

 総合的な学習の時間で扱う学習活動は、単に合科的な活動をするのでなく、これまでの教科では扱いにくかった現代的課題を扱うことが求められています。
 授業づくりという観点から見て、これら現代的課題を扱う際に留意すべき点として次のことを考える必要があります。

○ 直接経験が求められる学習活動でなければなりません。
 実際に外国人とコミュニケーションすることなしに、国際理解について学んだと言えるでしょうか。コンピュータを使うことなしに、情報について学んだと言えるでしょうか。いずれも、答えはNoです。環境や福祉の学習においても、リサイクルや介護にかかわる実体験が重要な位置を占めるはずです。もちろん直接経験だけでよいということにはなりませんが、直接経験をさせることなしに現代的課題の学習は成立しにくいです。
○ 価値判断にかかわる学習活動です。
 環境について学べば、豊かさと環境保護のどちらを優先するかという問題に突き当たるでしょう。福祉について学べば、よりよく生きるために何が重要かを考えさせられるでしょう。国際理解や情報の学習においても、世界はどのように変化していくべきで、その中で自分はどう生きるのかという問題に生徒たちは直面させられるでしょう。こうして、現代的課題の学習においては、価値判断にかかわることが不可避となります。
○ あらかじめ決まった「正解」はない学習活動です。
 価値判断にかかわる学習活動とも関連しますが、現代的課題には絶対的な「正解」はありえません。環境問題や高齢化社会への対応について、私たちの社会はまだどうすることが正しいのかを決められずにいます。国際理解や情報化社会への対応においても、唯一の正しい結論などないのです。
○ 追究のエネルギーを持続・発展させていく学習活動です。
 生徒自身あるいは生徒同士の葛藤や対立をとおして、問題解決のための視点を広げ、課題追究へのエネルギーを持続・発展させていくよう支援することが大切です。

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Q3−12 課題研究との違いは?

 専門教科の「課題研究」と総合的な学習の時間との違いはどのような点でしょうか。

○ 教育課程上の位置づけの相違
 「課題研究」は専門教科の一つの科目として教育課程上に位置づけられています。それに対し、総合的な学習の時間は各教科の枠を超えた新たな時間として位置づけられています。
 また、「課題研究」は、学習指導要領にその目標と内容が明確に規定されていますが、総合的な学習の時間は、各学校の主体性と創意工夫を尊重し、具体的な目標と内容は規定されていません。
○ 目標・ねらいについて
 しかしながら、「課題研究」と総合的な学習の時間とは、教育課程上の位置づけ以外の面では多くの類似点を持っています。
 例えば、目標・ねらいについて見れば、設定する課題の範囲が、前者は「各教科に関する課題」、後者が「自ら課題を見付け、・・・・・」と異なるものの、目指す目標については、前者が「問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度」、後者が「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」「学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度・・・」と、表現の違いこそありますが非常によく似ています。
○ 内容について
 内容、実施方法についても、両者は非常によく似た面を持っています。「課題研究」では、学習指導要領で内容が規定されているものの、その項目は「作品製作」「調査、研究、実験」「現場実習」・・・等、まさに大まかな項目が示されているのみで、「総合的、横断的な学習」と規定している総合的な学習の時間と共通するものがあります。また、「課題研究」の実施方法として、「生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、・・・個人又はグループで適切な課題を設定させること。」との配慮事項が示されており、この点も総合的な学習の時間と共通するものです。

 以上のとおり、「課題研究」と総合的な学習の時間とは、その目標、内容、実施形態という面で多くの共通点を持っています。「課題研究」は、平成6年度から専門教科を持つ高校で実施されており、多くのノウハウが蓄積されているものと思われます。普通科の高校が総合的な学習の時間を実施する上で非常に参考になるのではないでしょうか。また、専門高校についても、総合的な学習の時間創設の趣旨やねらいを踏まえ、やや固定化してきた「課題研究」の内容や方法を改めて見直す必要性があるのではないでしょうか。

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Q3−13 課題研究との代替は?

 職業教育を主とする学科においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができるとありますが,この場合,専門教育に関する教科・科目の単位数(25単位以上)に含むことができますか。

@ 「総合的な学習の時間」の学習活動により,「課題研究」の履修に替える場合
 総合的な学習の時間の学習活動により,『課題研究等の履修と同様の成果が期待できる』場合には,総合的な学習の時間の学習活動をもって課題研究の一部又は全部に替えることができます。この場合,学習活動の成果は,あくまでも,総合的な学習の時間の単位として習得を認められるものであり,専門科目の単位数(25単位以上)に含めることはできません。

A 「課題研究」の履修により,「総合的な学習の時間」の学習活動に替える場合
 @の場合とは逆に,『課題研究等の履修により,総合的な学習の時間における学習活動と同様の成果が期待できる』場合には,課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間における学習活動の一部又は全部に替えることもできます。この場合には,課題研究で履修した単位数は専門科目の単位数(25単位以上)に含めることができます。また,教育課程に総合的な学習の時間が盛り込まれないことになりますが,それも構いません。

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Q3−14 地域との連携のポイントは?

 生徒を地域で活動させる時に、学校や先生はどんなことを配慮すればよいのでしょうか?

@「総合的な学習の時間」で生徒に多様な学習体験活動をさせるには、家庭・地域社会との連携・協力関係を築くことが必須です。 まず地域の行政機関との連携を図りましょう。公共の施設を利用したり、ボランティアを探す手がかりを得たり、緊急時に備えたり など、市町村との連絡を密にしましょう。

A家庭・地域社会とのコミュニケーションを活発にしましょう。今までにない活動を始めるわけですから、家庭・地域社会の人々に 学校の教育目標や、「総合的な学習の時間」の目的・意義を伝え、自分たちの学校がどんな生徒を育てたいのか、生徒に何を学習さ せたいのかを明確に伝えましょう。

B開かれた学校として日頃の生徒のありのままを見てもらえる機会を持ちましょう。また、ホームページの開設、町の掲示板・回覧 板の利用、印刷物の配布などいろいろな形態で学校外の人々に活動を知らせることは、思わぬ援助をいただいたり、第三者としての 評価を得たりなど、生徒の学習世界を広げます。

C実際の活動では、なるべく生徒を前面に出し、事前の計画を地域でお世話になる方々に伝えさせたりするだけでなく、お礼の言葉 や活動報告書などを後日持参させたり、研究成果発表会に招待するなど、今後につながるアフターケアを忘れないようにしましょう。 地域の学校という意識や生徒は地域全体で育てるという意識が広く浸透していくでしょう。

D実践例の蓄積をしましょう。生徒が自ら課題を見つけ、解決していく段階で、無駄無く失敗なく進むことなどありません。その試 行錯誤の過程こそ大切だと生徒に教えたいのです。生徒たちが直接体験した成功や失敗から「生き方」を学ぶことこそ、みんなで共 有すべきこの学習の中身です。何がいけなかったのか、誰に助けてもらい、どう切り抜けて次に進んだかなどを伝え合う機会をつく りましょう。

E地元の小中学校や大学などと情報交換をしましょう。総合的な学習は小中学校でも実施されますし、生徒は高校までに特別活動な どで地域と結びついた色々の活動を既に経験しているはずです。生徒が今までにどんな学習をしてきたのかを知ることは大切です。 限られた中では地域素材がダブることもあります。しかし、小中学校時代とは視点を変えたり、内容をより発展させることができま すし、小中学校の生徒との共同研究で高校生がリーダーや先生になることもできます。地元大学との連携協力の可能性も探りましょ う。愛知県教育センターのホームページには、小学校・中学校の実践事例も掲載していますので参考にして下さい。

 「総合的な学習の時間」では教師の役割が明らかに変ります。学習の内容や計画を生徒が主体的に決めて行くのですから、「教師 の役割は、生徒の前に立つインストラクターから、生徒を横から支援するコーディネーターへと転換する」と捉え直せばよいでしょ う。

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Q3−15 中学校との系統性・連携は?

 中学校で学習した総合的な学習の時間の内容と重ならないために、中学校と連絡を取る必要はないでしょうか。

○ 地元中学と積極的に情報交換をしましょう
 高校に入学してきた生徒がどのような知識や学習方法を身につけているか、どのようなことに興味を持っているかなどについて理解しておくことは、教科指導のみならず、総合的な学習の時間を構想する上でも大切なことです。
 中学校で取り組んだ総合的な学習と重ならないために、また、高校での総合的な学習を効果的に実践していくために、中学でどのような形態で総合的な学習の時間を経験したか、どのようなことに興味・関心を持って取り組んだか、などについて中学校の先生と情報交換をしましょう。
 中学校の総合的な学習の時間に関する年間指導計画を見せていただいたり、総合的な学習に関する発表会などを参観することもよいでしょう。また、高校の総合的な学習に関する指導計画や発表会を中学の先生に見ていただくことにより、さらに交流が深まるかもしれません。総合的な学習を通じて中学・高校の交流や連携が進むことが期待されます。
○ 高校らしい総合的な学習を展開しましょう
 高校生になると、中学生の時よりも一層「どのような職業が自分に向いているのか。」、「どのような大学・学部を専攻しようか。」、など将来の自分の生き方についての関心が高まります。このことにより、中学で体験した校外活動をもう一度経験してみたい、と思う生徒が出てくるかもしれません。こうした生徒は、中学時代に何気なく取り組んだ体験や活動を「自分の将来にとってどのような意味があるのか。」といった自己実現や実社会との関わりの観点から問い直していると言えます。このように、中学で行った活動や体験をもう一度行うことが効果的な場合もあります。
 また、中学生時代に比べて精神的な発達もすすみ、クラスメイトとの意見の異同に関心が高まり、自己主張への欲求も強まってきます。ディベートや討論、報告や発表などの自己表現活動を重視した指導を積極的に取り入れたいものです。

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Q3−16 校外での活動を計画する上での留意点は?

 総合的な学習の時間の計画に施設見学などの校外活動を組み入れる際、どのようなことに留意したらよいでしょうか。

○ 「はじめに校外活動ありき」の計画ではありませんか?
 はじめに校外活動を実施する計画があって、そのために、総合的な学習の時間の実施計画を立てるものではないと思います。まず、総合的な学習の時間の指導の展開を構想し、校外での活動の必要性が生じてきて、立案するものです。
○ 従来の校外活動との関連を慎重に吟味しましょう。
 遠足やキャンプ、修学旅行など、特別活動として実施してきた校外活動については、引き続き特別活動として取り上げていくのが筋です。ただし、従来の特別活動の指導計画を洗い直し、総合的な学習の時間に位置づけたものであれば話は別です。
 また、教科で実施してきた校外活動を導入する場合も、教科として取り上げてきたねらい、内容をよく吟味し、総合的な学習の時間に位置づけていく方がいいかどうか慎重に検討する必要があります。
○ 授業日以外の日には行えません。
 学校外の学修等(学教施63条の4)なら、校外で、土日や長期休業中にボランティア活動や就業体験を行い、レポートを出せば、科目の履修とみなすことができます。しかし、総合的な学習の時間では、休業日に行うことはできません。必ず、授業日に校外活動を計画することが必要です。
 もし、どうしても行う必要がある場合は、休業日を授業日に振り替えて実施しなくてはなりません。その場合、所定の届け出が必要です。
○ 見学先等とのトラブルを避けるのは教師の責任です。
 グループに分かれて校外の施設等を見学・体験するような活動が計画されることがあると思います。その際、引率教員がいない場合も考えられます。そうしたケースでのトラブルを避けるようにしなければなりません。みだしなみ、班(グループ)の編成、交通手段、見学・体験上のマナー、事後の担当教師への報告等の指導を事前にすることも必要です。万一トラブルが起きた場合の連絡体制も整えておきましょう。また、事後の見学・体験先へのあいさつ等、失礼のないようにしたいものです。

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Q3−17 実施する学年は?

 高等学校において、「総合的な学習の時間」は全学年で実施する必要がありますか?

 「総合的な学習の時間」については、どの学年に何単位ずつ割り振るかは、各学校で決めることになります。例えば、3年間で3単位(105単位時間)分を履修させる場合、各学年1単位ずつでも、第1学年だけで3単位でもよいわけです。
 なお、全国普通科高等学校校長会で実施された「総合的な学習の時間」への取組に関する調査では、「必要とする単位数」は3単位、「各学年への割り振り」は1単位ずつが最も多い回答でした。

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